為替予約のメリットとデメリット!為替相場だけじゃない?
昨今の為替相場。国と国との対立など不安要素が増える中、円の価値が下落しがちな現代。
国際取引では為替相場を無視するわけにはいきませんが、最近は円安が進み為替差損を計上する機会がどうしても多くなりがちです、そんな中で誰もが少しでも損失を抑えたいと思うのは必然。
そこで為替予約という手段を考えられる業者様も多いかと思います。
ただし、為替予約にはタイミング次第で得をする場合もありますが、同じくタイミング次第で損をする場合もあります。
損をする場合は大きくなる場合が多く、考え無しに手を出していいものではありません。
この記事では、為替予約のメリットとデメリットをご紹介していきます。
目次
為替予約の目的
外貨取引を行うにあたって為替レートの変動は避けて通れないものです。
取引通貨により大なり小なりの程度の差はありますが、日々変動していくレートにより同じ取引でも取引のタイミングが変わるだけで得をする場合、損をする場合が出てしまいます。
レートが常に固定されていればこの悩みはないのですが現実問題そういうわけにはいきません。
レートを固定させる運用に近いものが為替予約となります。
ある地点でのレートで金融機関に対し、金額を提示して為替予約を行います。
すると、為替予約残高を使い切るまで、固定されたレートを使用して取引を行うことができます。
為替レートの変動に影響されない取引にはメリットもあればデメリットもあります。
次の章からメリットとデメリットについて解説していきましょう。
為替予約のメリット2つ
では、為替予約のメリットを紹介していきます。
円安が進んでも予約時点以降は損失を計上しなくて済む
為替予約を行う目的で主となるものがこれになるかと思います。
特に最近は国際情勢が厳しいものになりつつあり、為替相場では円安の不安が続いている情勢です。
そんな場合に為替予約をあらかじめ行っておくことで、取引時のレートを固定することができます。
レートが固定されているので将来的に円安が進んだとしても為替差損はそれ以上生まれず、損失を最小限に抑えることができます。
例えば、現在1ドル150円で為替予約をしておくと、1ドル120円となった場合に1ドルあたり30円、10000ドルで300000円の損失があったものをなかったことにできます。
単位を大きくしてみると分かりますが、かなりの損失を抑えられているのではないでしょうか。
そのため、取引完了までに円安が間違いないと予想される場合は為替予約を行うのが間違いない手法ですね。
早期利益確定により運用予定を立てやすい
為替予約を行い、レートを固定するということは、実際の取引よりも先に利益を計算することができます。
これによりその先の取引の計画を早期に立てることができるため、運用の計画を進めやすくなります。
為替予約をしていなかった場合、計画よりも為替差損が大きくなり、次回の取引の見積もりを少額にせざるを得なくなるといったことがありますが、為替予約をうまく使うことでこれがなくなります。
また、あまり意識することは少ないかもしれませんが、仮に円高となったとしても変動したレートに合わせて利益を計算し直さなければいけないため、経理の負担はどうしても増えてしまいますが、レートを固定しておくことで負担を抑えられるというメリットもあります。
計画が増えるのも負担ですし、わずかな利益を得たとしてもそれにより経理への負担が増えれば意味がありません。
早めの計画作成にもレートの固定による資産管理は役立つということですね。
為替予約のデメリット2つ
次に、為替予約のデメリットを紹介していきます。
メリットと表裏一体ではありますが、ぜひ確認してください。
円高となった場合に得られたはずの利益が得られない
メリット①と引き換えですが、為替予約時点で1ドル150円だったのが実際の取引時に1ドル100円となった場合に得られるはずだった1ドルあたり50円の利益がなくなってしまいます。
10000ドルの取引であれば500000円です。取引額が大きくなればなるほど差は大きくなり、得られたはずの利益を手放したことになってしまいます。
為替差による利益を生みたい場合、為替予約は悪手ということになります。
また、こればかりは為替相場の変遷から予測するしかないので難しい問題ですが、円安となるか円高となるかを情勢から判断し、将来的に円高が予想される場合は為替予約をしないほうがいいということですね。
ただ実際はどちらに転ぶかわからないので、レートの様子を見ながら為替予約を使うか使わないか、使うのであればどのタイミングかを吟味していく必要があるということです。
使い切れない場合は違約金、キャンセル料が発生する
為替予約は予約とは書くものの、実際は一定額をその時点でのレートで先に買っておくという金融商品です。
その時点でのレートでの金融機関との売買契約となります。また、為替予約には有効期限があります。
予約した額については有効期限内に使い切る必要があり、一度予約したら通常のキャンセルはできません。
もし、有効期限内に使い切れない場合にキャンセルを認めてしまうと、円高となった場合にわざと為替予約分を使わず、期限切れ時に払い戻すことで利用者が為替差益を得て、金融機関が為替差損を被るためです。
ただ、現実問題どうしても使い切れない場合も出てくるので、違約金や手数料を払うことでキャンセルできる規定を設けている為替予約もあります。
ただ、本来得られるはずだった為替差益分の保証ということになるので、手数料が高額になる傾向にあります。
円高となって為替差損が生まれ、キャンセルしようにも手数料のせいでキャンセルができず、損失が増えていくのを指をくわえて眺めていくしかない。
実際にこんな目には会いたくありませんが、可能性は捨てきれません。
為替予約の利用を計画するときは、かなり慎重に判断したほうがいいということですね。
【まとめ】為替予約のメリットとデメリット!為替相場だけじゃない?
取引時のレートをあらかじめ固定しておく為替予約。
タイミングによっては得をする場合も損をする場合もありますが、最大の利点はうまく相場を読むことで損失を最小限に抑えることができること。
そして、最大の難点は円高で利益が得られるようになると分かっていても途中で止めることができない点です。
キャンセルで高額な違約金、手数料を払うぐらいであれば為替差損として計上したほうが損失を抑えられるパターンが多いため、キャンセルは最後の手段としましょう。
また、相場がいずれの方向に傾いたとしても、レートが固定される為替予約を使うほうが将来的な運用計画を立てやすくなるというものもメリットもあります。
上手に利用して、為替相場の変動に振り回されないようにしたいものですね。
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