【貿易初級者必見】事後調査とは?目的や輸出入の必要書類、システムでの対応策を紹介!

業界用語というのはどの業種・職種に就いてもあるものです。
貿易に関連する業界ではその数が多いのではないでしょうか。

今回はその中でも、「事後調査」というワードについて紹介していきます。

貿易における事後調査とは?

税関職員が輸出者または輸入者の事業所等を個別に訪問し、通関後の輸出入許可が終わった貨物に対して、関係する帳簿や書類等の確認を行う調査のことをいいます。
調査の目的は、輸出と輸入とでそれぞれ異なります。

事後実施の理由と背景

事後実施の理由と背景

ここで疑問に思われるかもしれませんが、なぜ一度輸出入許可を出しているにも関わらず、再度調べる必要があるのか?
通常、輸出入申告をNACCSで行っているかと思いますが、申告結果として区分1~3までの3つの判定が反映されます。

区分1(簡易審査扱い)では、税関の審査はなく即許可となるため、税関の審査や検査は皆無となります。
検査が十分にできていない部分を補完し、しっかり調査を実施したいという意向もあると考えられます。

目的(輸出と輸入で違う)

輸出の場合

目的は適正かつ迅速な輸出通関を実現するためです。
輸出の際、皆さんは関連する法律やプロセスを全て正しく理解していますか?

残念ながら故意でなくとも法令違反をしているケースは存在します。
そこで、事後調査では輸出申告が関税法等関係諸法令に沿った申告となっているかどうかを判断します。

―輸入の場合

目的は、「適正な課税を確保する」ことです。
具体的には、課税価格は合っているのか?

正しい関税率を適用しているか?などが調査されます。
近年FTAやEPAの活用により関税は下がりコスト負担の削減は出来る一方で、協定内容の違いにより複雑な税率計算により適切な関税率の適用が難しくなっているのも現状です。

準備事項:調査で税関に求められる貿易書類&保存期間

準備事項:調査で税関に求められる貿易書類&保存期間

では、皆さんは具体的に何を準備すればいいのでしょうか?
調査の際には税関より、輸出入に関する以下の書類などを提出するように求められます。

  • 輸出入許可書
  • インボイス
  • 輸出入に関する契約書
  • メール
  • 海外への送金明細
  • 運賃明細書
  • 保険料明細
  • 原産地証明書
  • 会計帳票
  • 決裁書類
  • 発注書類

取引形態が分かるもの、そしてお金のフローが分かるものを見ていきます。
また、関係書類は、一定期間保管する義務があります。
保管に不備や不足があると、指導の対象となりますのでご注意ください。ちなみに上記の書類には保存義務期間もあります。

輸出入ともに、基本的に許可の日の翌日から5年が保存義務期間です。
輸入の帳簿のみ許可の日の翌日から7年と長いので注意が必要です。

通常、約1ヶ月前に連絡があります。事後調査の通知は電話やファックスなどで行われます。
税関が具体的な日時を指定してきますが、やむを得ない事情によっては協議の上、変更も可能です。

そもそもこれって拒否出来るのか?と思われた方もいるかもしれませんが、事後調査は、関税法第105条第1項第6号に「税関職員の権限」における「質問検査権」として規定されており、輸出入者は税関による事後調査を拒否することはできません。

不適切な場合(指導と罰則)

不適切な場合(指導と罰則)

故意でなくとも知識不足や社内管理体制の不備により関税法等関係諸法令に違反していることもあります。
その場合は、税関職員により間違っている箇所を指摘され、正しい進め方の指導を受け、そのうえで適切な社内体制を整備するように下記の指導が行われます。

  • 適切な輸出管理体制および通関処理体制の構築
  • 申告指導
  • 修正申告
  • 社内体制の整備

罰則:修正申告には加算税が発生する?

また事後調査で不備や間違いを指摘され、修正申告を行う場合は以下のような加算税が発生するケースがあります。
ただし、明らかに意図的で悪質なケース(隠蔽や書類の改ざん)は、さらに40%の重加算税が科せられます。

  • 過少申告加算税:10%
  • 無申告加算税 :15%

貿易取引におけるシステム活用術

貿易取引におけるシステム活用術

専用システムを活用することで、企業の修正申告等のリスクを低減し、これまでの手作業で時間のかかる業務を効率化し、社員の生産性を高められます。

●会計ソフトの導入
輸出取引では、多くの財務取引が発生します。
これらを効率的に管理するためには、専門の会計システムを導入することが有効です。

会計システムを利用することで、取引の記録、費用の管理、決済の追跡などが簡単に行えるようになります。

●貿易管理システムの活用
貿易管理システムは、輸出入業務全般を管理するためのツールです。
これを活用することで、事後調査への準備として各種関係書類の保管(顧客別、時系列)や経緯、貿易関連書類作成の自動化など、これまで手作業で時間とコストがかかっていた業務をスピーディーに透明性を持って進めることができます。

貿易管理システムは、これまで多種多様な業種のお客様で培った多くの知見が機能に反映されているため、業務改善による経営コスト削減とプロセスの最適化を実現できます。
またクラウドの活用により企業のサステナビリティやBCP対策としてもお役立ちいただけます。
経営者にとっては強固な企業基盤を確保出来、よりいっそうのガバナンス強化にもつながります。

ご参考までに(TRADINGによる文書管理例)

まとめ

今回は、貿易用語における「事後調査」について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

貿易取引のなかでも輸出入後における税関による調査ということで、多少通常業務とは違った意味合いを持つこと、そして事前準備や関係書類の整理と保管や違反時における罰則が印象的だったのではないでしょうか。

ソフトウェア活用術の部分でも述べましたが、多種多様な書類や取引先での各種書類の保管や管理にはシステム化による一元管理が非常に効果的です。

この記事を書いている株式会社サンプランソフトは、30年以上にわたって貿易管理システム「TRADING」シリーズを提供しているシステムベンダーです。
貿易業務のシステム化にご興味がありましたら、ぜひ資料をダウンロードください。