貿易のドックレシートとは?流れやサンプル、ACLとの違いを詳しく解説!
ビジネスシーンにおける「引き渡し書類」は、どの業界であっても重要な物といえます。
例えば、消費者の立場であれば、物件賃貸時に記入する鍵の引渡書などが身近ですね。
貿易実務においても必要不可欠な引き渡し書類、今回はその中から「ドックレシート」について見ていきましょう。
目次
貿易におけるドックレシートとは?
ドックレシート(DOCK RECEIPT、D/R)は、日本語で貨物受取証とも呼ばれます。
4-8枚綴りの書類で、貨物と合わせて輸送されます。
搬入場所をはじめ、様々なタイミングで船会社、税関、発送元などが受領する書類を指し、様式は一般的に船荷証券を模して作られています。
■注意点:
1)船会社ごとに書式が異なる
→内容が直に船荷証券へ転記されるので、書き間違えないように注意が必要です。
2)輸出相手国が”24時間ルール”を設定している場合
→記載事項の増加や、締切日が短くなるなどの影響があります。
“24時間ルール”は、アメリカ同時多発テロ事件以降に導入されました。
この制度では、出港地から船積みされる24時間前までに、輸出貨物のマニフェスト(積荷目録)を輸出先国の税関に提出させることが求められます。その目的は、「テロ行為に使用される疑いのある貨物を事前に把握し、対策を講じること」をスムーズにすることです。
※マニフェストはB/Lをもとに船会社が作成し、現地の税関へ提出されます。
この”24時間ルール”がドックレシートへ与える影響は、下記2点です。
a)締切日が短くなる
ドックレシートは、カット日(締切日)を守らなければ、貨物の本船への積載が不可となってしまいます。そしてドックレシートの締め切りは、一般的に貨物搬入のカット日より早く設定されることが度々あります。
これは”24時間ルール”のために、船会社の書類作成時間が短くなっていることが影響しています。
b)追加の記載事項
●正式な貨物の名称(具体的な品名)
●SHIPPER/CONSIGNEE/NOTIFYの情報
(住所・企業コード・連絡先・担当者名・メールアドレスなど)
●危険品明細(※海上輸送において危険品に該当する場合)
●HSコード(統計品目番号)
また、同じ24時間ルールといっても各国や地域によって異なるルールがあるので、現地の規則を確認する必要があります。
これらの目的はすべて「テロ行為に使用される可能性のある貨物を事前に把握し、対策を講じること」にあります。
3)紛失時のリスク
ドックレシートは、いわば船荷証券の引換券です。
もし紛失してしまうと船会社が証券を発行できず、スムーズな取引へ大きく影響してしまう恐れがあります。
なお、2024年現在ではドックレシート情報の電子化が進み、紙媒体は減少しつつあります。
貿易上でのドックレシートの流れ
ここからは図を見ながら、貿易実務の中でドックレシートがどのように発行され、提出まで行われるかを確認していきましょう。
1)船積み手続きの依頼
まず輸出者がSHIPPING INSTRUCTION(船積依頼書、S/I)を作成します。
この依頼書を以て、海荷業者へ船積みの手続きを依頼します。
2)ドックレシートの発行・提出と船積み手続き
次にS/Iを受け取った海貨業者が、D/Rを船会社へ発行します。以下は船積み手続きの概要です。
[船積み手続き]
2-1)D/R発行後、海貨業者は税関から輸出許可書を受領
2-2)船会社はD/Rの一部を海貨業者へ返却
2-3)海貨業者はD/Rを貨物と合わせて、コンテナヤードやコンテナフレートステーションへ搬送
2-4)船会社により船積みが完了
そしてD/Rの情報を基に、船会社が船荷証券を作成するという流れになっています。
ドックレシートのサンプル例、作成時の記載内容
ドックレシートは船荷証券の基となる書類ですので、記載内容やフォーマットも類似点が多くあります。
なお、記載内容に漏れがなければフォーマットに関しては特に指定はありません。
一例として、下図のような物が取り扱われています。
作成にあたり、主な記載内容は、下記のものが挙げられます。
●発送人名(会社名)
●予約番号
●荷受人名(会社名)
●荷受人の住所
●船積み港
●荷揚げ港
●貨物の個数、重量、大きさ
●商品の内容
●B/L発行地
なお、受領した貨物に損傷や過不足などの以上があった場合も、必ずドックレシートへ記載を行います。
ドックレシートとACL業務との違いとは?
さて、近年の貿易業務に携わる方におかれては、ドックレシートは”とある業務”の一パートという認識ではないでしょうか。
“ACL(船積確認事項登録)業務”と呼称され、海貨業者や通関業者などが船会社と電子データで船積確認事項を取り扱うというものです。
ACL業務は、B/L作成情報をはじめとした船積書類の電子化促進施策です。
NACCS(輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社)の提供するシステムに則って、船積書類に関わるデータの作成・送付をオンラインで可能にする取り組みであり、そのうちの一つとしてドックレシートの情報も含まれているということです。
将来的には、完全にドックレシートが電子データに置き換わる日も遠くないかもしれません。
【まとめ】貿易のドックレシートとは?流れやサンプル、ACLとの違いを詳しく解説!
■そもそもドックレシートとは?
→海貨業者やフォワーダーが発行する”貨物受取証”
4-8枚綴りの書類で、貨物と合わせて輸送される
■貿易上でのドックレシートの流れ
→船積依頼書→ドックレシート→船荷証券
(発行:輸出者→海貨業者→船会社)
■サンプル例や作成時の記載内容
例)発送人名/予約番号/荷受人名/荷受人の住所
船積み港/荷揚げ港/貨物の個数、重量、大きさ
商品の内容/B/L発行地 など
■ドックレシートとACL業務との違いとは?
ACL業務のひとつとして、ドックレシートの電子データを登録・送付している
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
貿易におけるACL業務のように、昨今ではビジネスシーンのあらゆる分野でDXが推進される風潮にあります。
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