貿易用語 “建値”とは?初心者向けの図解でわかりやすく解説!

貿易用語 ”建値” とは?初級者向けに図解でわかりやすく解説!

業界用語というのはどの業種・職種に就いてもあるものですが、こと貿易に関連する業界ではその数が多いのではないでしょうか。
今回はその中でも、「建値」というワードについて紹介していきます。

貿易用語における建値とは?

建値とは、一般的には売り買いの基準価格を示す言葉ですが、貿易用語における建値は運送費、保険料、リスクの負担などの貿易条件に基づいて価格を設定する方法を指します。また取引相手へ、これらの貿易条件を提示することを指す場合もあります。

建値は、取引の種類や条件に応じて異なる形式を取ることがあります。
例えば、輸出取引においては、商品が出荷される場所や運賃、保険料などが含まれるかどうかによって建値が異なるケースです。
これらの貿易条件はインコタームズと呼ばれ、国際商業会議所によって定められています。

輸出取引の主要条件:DAP、EXW、FOB、C&Fの紹介

貿易取引にはさまざまな条件が存在しますが、その中でも特に重要なものをピックアップしました。
ここでは、DAP(仕向地持込渡)、EXW(工場渡)、FOB(本船渡)C&F(運賃込)の4つの主要な条件について紹介します。

EXW(Ex Works)

EXWは、売主の施設で商品が買主の手に渡った時点で、リスクと費用の責任が買主に移る条件です。
売主は、商品の準備と引き渡しだけを行い、その後の輸送や保険、通関手続きなどはすべて買主が負担します。
これは、売主にとってリスクを最小限に抑えることができるため、特に小規模な取引に適しています。

EXW(Ex Works)

FOB(Free On Board)

C&Fは、売主が本船の船側に商品を置いたタイミングで、危険負担/費用負担が買主側に移行する条件です。
なお、輸出手続きや通関手続きは売主側が行います。コンテナでの船積みを行う場合、使われることが多い取引条件です。

FOB(Free On Board)

C&F ※書類上ではCFRとも表記される

C&Fは、売主が商品を船積みし、指定された港までの運賃を負担する条件です。
ただし、商品のリスクは出荷時点で買主に移ります。
つまり、運賃は売主が支払いますが、輸送中のリスクは買主が負担することになり、運賃の管理を売主に任せたい場合に有効です。

C&F

DAP(Delivery At Place)

DAPは、指定された目的地まで商品を運ぶことを売主が責任を持つ条件です。
売主は、目的地までの運賃や輸送にかかるリスクを負担しますが、輸入手続きや関税などの費用は買主が負担します。
この条件は、買主にとって輸送リスクを最小限に抑えることができるため、特に便利です。

DAP(Delivery At Place)

輸出取引での決済条件とそのポイント

輸出取引において、決済条件は非常に重要な要素です。
適切な決済条件を選ぶことで、取引のリスクを管理し、資金繰りをスムーズに進めることができるでしょう。
ここでは、主要な決済条件とそのポイントについて解説します。

●前払い(Advance Payment)
前払いは、商品が出荷される前に買主が代金を支払う方法です。
この方法は、売主にとってはリスクが低く、資金の回収が確実ですが、買主にとっては商品が届かないリスクがあります。
そのため、信頼関係が確立されている場合に適しています。

●信用状(Letter of Credit, L/C)
信用状は、買主の銀行が代金支払いを保証する方法です。
売主は、信用状の条件に従って商品を出荷し、必要な書類を提出することで代金を回収できます。
これは、売主と買主の双方にとってリスクを分散できるため、一般的に利用される方法です。

●手形支払時書類渡し(Documents Against Payment, D/P決済)
D/Pは、売主が出荷書類を銀行に送り、買主が代金を支払った時点で書類を受け取る方法です。
買主が代金を支払わない限り商品を受け取れないため、売主にとっては比較的安全な方法ですが、買主にとっては現金の用意が必要です。

以上が輸出取引における主要な決済条件です。

もう一つのPrice Quotation

貿易用語における建値は、取引価格の決定要素以外にもう一つ意味を持っています。
それが「国際輸送料金の価格を建てる」場合です。

たとえば、「重量基準」や「体積基準」などがあります。
重量基準なら、「貨物の重さを基準に輸送料金を決める」、体積基準なら、「貨物の大きさを基準に料金を決める」という意味です。代表的な基準は以下のものがあります。

●重量基準:不定期便の運賃を決める方法で、鋼材のように重い貨物に使われます。

●体積基準:貨物の体積を基準に運賃を計算する方法です。主要な基準として、1メジャートン=40立方フィートや1立方メートル=35立方フィートがあります。

●フレイトトン(W/M):貨物の重さと体積を比べて、大きい方を基準に料金を決める方法です。特にLCL(混載貨物)輸送で使われます。

●価値基準:宝石や骨董品など、重さや体積では正確な料金を計算できない場合に使われます。商品の価値の何パーセントかを運賃にする方法です。

●ボックスレート:主にコンテナ輸送に使われる方法で、20フィートや40フィートのコンテナ単位で料金が決まります。コンテナに入るものであれば、危険物を除いて何でも同じ料金で運べます。

貿易取引におけるソフトウェア活用術

最後に、貿易取引におけるソフトウェアの活用について紹介します。
建値や貿易条件をはじめとし、現代の貿易業務は複雑で多岐にわたります。効率的に管理するためには適切なソフトウェアの利用が不可欠といえるでしょう。

●会計ソフトの導入
輸出取引では、多くの財務取引が発生します。これらを効率的に管理するためには、専門の会計ソフトを導入することが有効です。会計ソフトを利用することで、取引の記録、費用の管理、決済の追跡などが簡単に行えるようになります。

●貿易管理システムの活用
貿易管理システムは、輸出入業務全般を管理するためのツールです。これを活用することで、出荷スケジュールの管理、書類作成の自動化、関税計算の効率化など、手作業では時間のかかる様々な業務をスムーズに進めることができます。

【まとめ】貿易用語 “建値”とは?初心者向けの図解でわかりやすく解説!

貿易用語における建値とは?
→運送費、保険料、リスクの負担などの貿易条件に基づいて価格を設定する方法を示します。

輸出取引の主要条件:DAP、EXW、C&Fの紹介
→仕向地持込渡/工場渡/運賃込の意。売主と買主の責任分担を示します。

輸出取引での決済条件とそのポイント
→支払いのタイミングや手順などについて。信用状(L/C)が一般的に用いられます。

もうひとつのPrice Quotation
→「国際輸送料金の価格を建てる」場合を意味し、いくつかの基準を持っています。

貿易取引におけるソフトウェア活用術
→専用ソフトを活用することで、手作業では時間のかかる様々な業務をスムーズに進められます。

今回は貿易用語における建値について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
一般的な意味合いとは異なり、貿易取引のなかでも2種類の意味合いを持つこと、そして多種多様な条件が介在することが印象的だったのではないでしょうか。

ソフトウェア活用術の部分でも述べましたが、取引ごとに条件が異なり、多種多様な書類を用いる貿易業務においてはシステム化が非常に効果的です。

この記事を書いている株式会社サンプランソフトは、30年以上にわたって貿易管理システム「TRADING」シリーズを提供しているシステムベンダーです。貿易業務のシステム化にご興味がありましたら、ぜひ資料をダウンロードください。