「SAP 2027年問題」と貿易機能・輸出入システム連携について
基幹システムパッケージ(ERP)製品で代表格のSAP(エス・エー・ピー)の2027年問題があります。
それは、世界各国の大企業様の基幹システムパッケージERP(EnterPrise Resourse Planning)のSAP ERP 6.0が2027年末をもって標準保守(メインストリーム)終了の期限を迎える、という問題です。
現在、SAP ERPからSAP S4/HANAへの移行をメーカーより求められています。
当初は、2025年末に標準保守(メインストリーム)の終了を迎える予定していたため、2025年問題となっておりましたが、2年間延長となりました。
SAP製品を利用されている企業様からは歓喜の声が上がりましたが、一方で各ベンダーからは2年延長だけではあまり意味がないのではないか、との疑問の声が上がっています。
SAP ERPを初期に導入した企業様の場合だと、20年近く経つため、この延長された2年からは非常に重要な2年間となります。
目次
SAPとは?
そもそもSAPとはなにか?
「SAP ERP」、「SAP S/4HANA」は、ドイツに本社を置く基幹システムを開発し提供する1972年に設立した統合パッケージメーカーとなります。SAP(エス・エー・ピー/サップ)の社名は設立当初の「System Analysis Program Development」が会社名の由来となり日本も含め各国の大企業様がご導入されています。
主な機能として、財務会計、管理会計、販売管理、生産管理、在庫購買管理、固定資産管理、人事管理、品質管理、プラント保全等の主な機能を持っています。
2015年にSAP/インメモリ型の高速データベースシステムである「SAP HANA」をプラットフォームとする次世代ERP「SAP S/4HANA」をリリースしました。現在は多くの企業が、2027年末の保守(メインストリーム)の終了に向けてSAP S/4HANAへのシステム移行を進めている状況となります。
ERP製品の選定(Global編)
ここでは、ERP製品の選定される際の傾向や、ERPシステムと基幹システムの違いについてご説明します。
最近では、ERP製品を選定される際に、ERPと単語で調べると星の数ほどありますが、Globalに対応できるERPとなると、SAP(S/4HANA)、Microsoft(Dynamics)、ORACLE(NetSuite)等と比較されるケースが多くなっています。
ERP製品の選定について最近の傾向として、1番はそのまま同じメーカー製品をバージョンアップされるケースが多いですが、機能過多によりシステムをうまく使いこなせないため、ロースペックでなおかつコストを抑えた製品にリプレースをされるケースも多く聞くようになってきました。
また、製品を早期稼働や長くお使いいただくために、できる限りカスタマイズをせずパッケージ製品に合わせてご利用いただく傾向に移りつつあります。
※そもそもERPシステムと何か?
ERP(Enterprise Resource Planningの略)とは、各企業様の会計業務、人事業務、生産業務、物流業務、販売業務などの業務を統合し、効率化や情報の一元管理を図る為に誕生しました。データの一元管理が実現し、最新の情報をリアルタイムに確認することが可能です。
SAPの輸出入(貿易)機能
輸出入(貿易)の機能について、多くの企業様でまだまだ、AccessやExcel、Wordを使用されているケースがあります。
それ以外ですと、輸出入の機能も1つのパッケージで実現したいため、カスタマイズにて実装されるケースがあります。
ただ、輸出入の貿易業務については、国内の売買管理とは業務の流れが異なり特殊な部分も多く、一筋縄にはいきません。
稼働までにお客様からのヒアリング、要件定義、御見積書提示、詳細設計、開発、テスト、納品と一連の流れで進めると長期間かかり、またご費用も膨大に膨れるため、各開発ベンダー様のSEやPGの力量が問われるようになっているのが現状です。
追加された輸出入の機能は、お客様のご要望どおりでなければ毎年膨大なご予算を取っていただくため、最終的には輸出入の機能のみで数億円になることもあります。
輸出・輸入の貿易業務については、日々イレギュラーな作業が発生し、ある程度の自由度を求められるため、予算との兼ね合いでERP側でも実装を諦め、輸出入に特化した他社製品を導入される企業様が増えてきています。
ローコスト・短納期でご利用いただけるため、ひと昔前の内部統制の観点から1つのシステムで全ての業務を賄われるケースが多くなっていましたが、現在は、他メーカーの製品と連携し業務の効率化を進められる企業様が増えてきました。
次に輸入業務で主に求められる機能、輸出業務で求められる機能についてご紹介させて頂きます。
輸入業務:Purchase Orderの作成、仕入れ用のInvoiceデータの入力、為替予約、諸掛管理、為替差損益の管理
輸出業務:Proforma Invoice、Packing List、Shipping Advice、Shipping Instructionの作成など
パッケージによっては、無償品(No Commercial Value)パーシャル、コンバインも制限なく対応が可能です。
上記に記載されている内容は、輸出入に特化した製品ですと、標準機能で対応が可能なため、カスタイズをせずに外部システムをご導入されるケースが多くなってきました。
SAPとのシステム連携について(輸出入)
輸出入に特化した外部のシステムをご導入されるケースが多くなってきているとご紹介させていただきましたが、SAPとどのように連携し、業務を効率化ができるかの議論が必要となって参ります。
今回は、円安が進んでいる現状を加味し、ERPと輸出貿易システムとの連携事例についてご紹介します。
各企業様から求められるのが、自動化や自由度となります。
手前味噌にはなりますが、当社の貿易システム「TRADING」の輸出ドキュメント作成システム「TRADING-EL」では、基幹システムとシームレスに連携し、InvoiceやPacking List、Shipping Instructionなどの各ドキュメントを自動的に作成することが可能です。
ERPから取り込まれたデータに、自由に追記や編集をすることが可能です。
本来、システムの新規導入や入替をされる際に、長期間にわたりストレス期間を設けられる企業様が多くございますが、自動的に出荷データを取込、Invoiceが作成され、編集も自由にできるため、ストレス期間を短縮し稼働することも可能です。
※ERP側は出荷データを出力するのみ。
※TRADING側でキックプログラムが起動する為、ERP側は膨大なカスタマイズをする必要はありません。
今回、ご紹介させて頂いた通り、ERP側とシームレスに連携しProforma InvoiceやInvoiceを自動的に作成ができるため、テレワークやDXにも対応が可能です。
結果として、現在問題になっている少子高齢化や2025年には、人口の4人に1人が75歳以上となり人材の採用が難しくなるため、どんな業界でもExcelやWordなどの手作業をなくし、システム化はマストとなっております。さらに近い将来、自動化もマストになってくるかと思われます。
ERP側では、機能やコストのバランスの中で実現できない部分がある場合、外部システムを導入することで、コストを抑えつつ必要な機能との自動連携が可能となります。
そのため、外部システムを導入することには多くのメリットがあると考えられます。
【まとめ】「SAP 2027年問題」と貿易機能・輸出入システム連携について
SAPの2027年問題やSAPの概要、ERPの選定、輸出入機能の紹介、そしてSAPと貿易システム(輸出システム)の連携についてご説明させていただきました。最近の傾向として、ERP単独ではなく、外部システムと連携することでコストを抑え、短納期で稼働させることが明らかになってきました。
実現したいことをある程度システム化することは可能かと思いますので、視野を広げてご検討頂いても良いのではないでしょうか。
SAPなどのERPや基幹システムと貿易システムを連携したい場合は、貿易システム「TRADING」をぜひご検討ください。